*2001年*

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  R.P.G  宮部みゆき  ☆☆☆
ネット上に疑似家族を持ち、「お父さん」役をやっていた 男性が刺殺された。 その3日前に起こった、女性が絞殺された事件の遺留品 と共通するものがあることから、この二つの事件の関連 性が調べられることになる。 まるで舞台劇のような限られた空間の中で、真犯人 探しが始まる・・・。異色ミステリ−。
読んでいて先が想像できてしまうのが、ちょっと不満 だった。


  悪意  東野圭吾  ☆☆☆
ある人気作家が殺された。第一発見者は、殺された 作家、その妻双方の幼なじみだった。犯行現場に赴いた 刑事の推理は?犯人の動機は?殺人動機を語らない 犯人と、それを暴こうとする刑事との虚々実々の駆け引き を描いたミステリ−。 人はなぜ人を殺すのか?人間の本質に迫る傑作。


  ある詐欺師の風景  村松友視  ☆☆☆
ある結婚詐欺師が、過去に関わった女性を懐古する形で 描かれた作品が中心となっている短編集。 人は信じたいと思うものを信じ、自分を愛する者を愛して しまうもの。この鉄則を疑わないこと。それが結婚詐欺師 の条件だ!こう言い切る男が見た風景とは、はたして? 哀愁が漂うような作品。


  家(上)  島崎藤村  ☆☆☆
藤村の自伝的作品。主人公小泉三吉が、姉の嫁ぎ先の 橋本家を訪れ、そこに2ヶ月ほど滞在するところから物語 は始まる。 兄弟達との関わり、彼自身の結婚、妻との関係など、彼を 取り巻く状況を克明に描いた作品。 現代文学ばかり読んでいたので、この作品は逆にとても 新鮮な感じがした。


  家(下)  島崎藤村  ☆☆☆
藤村の自伝的作品。相次ぐ我が子の死、姉の家の荒廃、 甥の失意の中での死など、様々な状況の中で生きて 行かねばならない主人公三吉の姿を描く。 今の時代では想像もできない「家」というものの重みが、 ひしひしと伝わってくる作品。


  いのちの詩〜雅子の青春  岡本雅子  ☆☆☆
重度の脳性マヒでありながら、常に明るさを失わずに前向 きに生きる、一人の女性の生い立ちの記。 唯一自由に動かせる右足の親指一本でタイプやワ−プロ を打ち、この作品を完成させた。


  美しき凶器  東野圭吾  ☆☆☆
ある秘密を守るため、4人の男女が1人の男を殺して しまう。家ごと死体も証拠も燃やしてしまった彼等は完全 犯罪を確信する。 しかし、たった1人真実を知る女性がいた。男顔負けの 並はずれた体を持つ彼女はそれを武器に、4人の人間に 復讐するために行動を開始する・・。
いつどんな方法で彼等に近づいて復讐をとげるのか、 とても興味深く読んだ。ラストは意外!


  海辺の小さな町  宮城谷昌光  ☆☆☆
両親から離れ、一人大学生活を始める雄二。彼は父から 合格祝いにカメラを贈られる。最初は興味がなかった彼 だが、しだいに興味を持ち始め、ついに彼の生活はカメラ を中心に回り始める。カメラと友情と恋、青春の持つ輝か しさが満ちあふれた作品。


  ウランバ−ナの森  奥田英朗  ☆☆☆
悲劇の暗殺の1年前、世紀のポップスタ−ジョンは妻の 国である日本で休暇を過ごしていた。軽井沢の別荘で、 ジョンはひどい便秘に悩まされ、診療所に通うように妻に すすめられる。だが、行く途中に通る森の中で、彼は神秘的な 体験をすることになる。愛と感動のファンタジ−。 読んだ後、心が温かくなる作品。


  カオスの素顔  ニ−ナ・ホ−ル  ☆☆☆
一ヶ月後の天気予報をしたり10億年後の天体の位置を 考える時、初期値のほんの僅かな差が劇的な変化を生 み、未来を予測できなくする。大気や水、惑星などは全て 物理の法則に従って動いているのに、なぜ「予測不能」に なってしまうのか?それを明らかにしたのが、カオスの 理論である。理解するのが困難な本だった。


  ガン回廊の朝(あした)  柳田邦男  ☆☆☆☆☆
人はいかにしてガンに立ち向かって来たのか? 国立ガンセンタ−を舞台にガンの早期発見、治療などの 研究に取り組んだ人々の苦闘を描いた感動の作品。


  堪忍箱  宮部みゆき  ☆☆☆☆
ふたをあければ災いが降りかかるという箱・・・。 この箱をめぐる人々の心の揺れを描いた表題作 「堪忍箱」を始め、人の心の闇や影、感動や切なさを 描いた珠玉の短編集。


  希望の国のエクソダス  村上龍  ☆☆☆☆☆
2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた! 経済の大停滞が続く日本で、彼等はビジネスを開始。 情報戦略を駆使した彼等の行動は、意外な結末をもたら す。そして全世界の注目の中、彼等のエクソダス(脱出) が始まった。現代社会の絶望と希望を描く長編小説。


  共生虫  村上龍  ☆☆☆☆
何年もの間ひきこもりを続ける青年・・。ある日彼は自分 の体の中に「共生虫」の存在を自覚するようになる。 「絶滅をプログラミングされた種は、共生虫の終宿主と なる。共生虫を体内に飼っている選ばれた人間は、殺人・ 殺戮と自殺の権利を神から委ねられている。」そう信じた 彼がとった行動は? 現代社会に、偽りのない真の希望はあるのか?作者が 私達に問いかけようとしているものはあまりにも大きく、 そしてあまりにも重いものだと感じずにはいられない。


  朽ちた樹々の枝の下で  真保裕一  ☆☆☆☆
妻を事故で失い札幌を離れ森林作業員となった尾高は、 ある日夜明け前の森で、一人の女性を救出する。しかし、 その女性は謎を残し病院から逃亡する。 女性を探し、謎を突き止めようとする尾高の前に、意外な 事実が浮かび上がる。 北海道を舞台に描かれたサスペンス大作。


  五分後の世界  村上龍  ☆☆☆☆
5分のずれで現れたもうひとつの世界。突然その世界に 迷い込んでしまった男が見たのは、人口が26万に激減 した日本の異様な姿だった。 「人類に生きる目的はない。だが、生きのびなくてはなら ない。」戦い続ける兵士達のこうした思いの中、男のとっ た行動は?作者の言わんとすることが、胸にズシンと 響いてくるような作品。


  淋しい狩人  宮部みゆき  ☆☆☆☆
作者が行方不明になり、未完のままになってしまった推理 小説「淋しい狩人」。12年後、匿名のハガキが家族の元 に届く。未完の作品を完成させると言う。さらに驚くべき事 に、小説の中の設定と同じような人物が、同じような手口 で殺されていく・・・。 表題作を含め、東京下町の古書店を舞台に、本にからむ 人間模様を描く連作ミステリ−。


  さよならゲ−ム(side−A)  濱岡実  ☆☆☆☆
雪の夜、ある作家夫婦を襲った惨劇。捜査陣を待って いたのは、パズルのようにちりばめられた謎だった・・・。 容疑者と思われる男と捜査陣との行き詰まる駆け引きが 始まる・・・。


  さよならゲ−ム(side−B)  濱岡実  ☆☆☆☆
しだいに解き明かされていく謎。そこに浮かび上がって きたのは、殺された夫婦と容疑者の男との過去の関わり だった・・・。感動のラストがあなたを待っている。


  死体の涙  上野正彦  ☆☆☆
30年間で2万体の検死を行った作者。 彼が出会った死体との一期一会のつきあいの中で、 ようやく心の整理がついた事を作品としてまとめたもの。 死あるいは死体を見るという厳しい現実の中にこそ、 人の温かさを教えてくれるものがある、という視点から この作品を書いている。


  失踪者  折原一  ☆☆☆
突然ある女性が失踪した。そこに残されたメッセ−ジは、 15年前に起こった失踪事件との関連を示唆するもの だった。15年前の失踪事件と現在の失踪事件とは、どう つながっているのか?その裏に隠された秘密とは?
巧妙に組み立てられたスト−リ−が、読む者を不思議な 世界へと導いていく。ミステリ−の傑作。


  「死の医学」への序章  柳田邦男  ☆☆☆☆☆
死を宣告された医師が残された時間の中で、「死の医学」 というものを考え、行動していく姿を描いた真実の記録。 自分が患者の立場になった時に、初めて患者の心理 状態を理解した彼は、死に臨む患者に医師は何をすべき かを、本にまとめ残そうとする・・・。 とても感動した作品。


  ジャンプ  佐藤正午  ☆☆☆
ある日突然、つきあっていた彼女が失踪する。彼女の足 取りを追っていくうちに、失踪の原因がいろいろな偶然の 積み重ねだということがわかってくる・・・。 自分の意志で失踪する人は、年間7万人もいるという。 その「失踪」をテ−マにした作品。


  13階段  高野和明  ☆☆☆☆☆
喧嘩で人を殺し仮釈放中の青年と、犯罪者の矯正に絶望 した刑務官。2人に依頼されたのは、死刑囚の冤罪を 晴らすことだった! 3ヶ月の期限と、1000万円の報酬。彼等ははたして やりとげることができるのか? 複雑に絡み合った真実の中に、さらなる真実が隠されて いる・・・。読みごたえ充分の作品。


  ショ−トショ−トの広場  阿刀田高編  ☆☆☆
様々な人たちが考え出したショ−トショ−トを集めた本。 どのショ−トショ−トも個性的で興味深い。


  昭和史発掘(八)  松本清張  ☆☆☆
昭和初期、永田中将斬殺事件を利用して、皇道派は法廷 闘争を策すが、失敗。 折から第一師団が満州に出勤するという噂に、急進派の 青年将校は時期尚早とする慎重派を押さえて、ク−デ タ−決行の準備に取りかかる・・。 2.26事件へどのようにしてつながっていったのか、興味 深く読んだ。


  死よりも遠くへ  吉岡忍  ☆☆☆
様々な人たちの死を通して、生きることの意味を問い かける胸を打つエッセイ。人は何を思い死んでいくのか? 遺された家族は?生と死という大きな二つのテ−マに、 考えさせられることが多かった。


  シルクロ−ド行(下)  井上靖  ☆☆☆
謎の国桜蘭を始め、トルファン街道、トルキスタン、タシケ ント、サマルカンドなど、シルクロ−ドゆかりの地を訪ねる 歴史紀行文。 作者のシルクロ−ドに寄せる思いが伝わってくる作品。


  白い犬とワルツを  テリ−・ケイ  ☆☆☆☆
長年連れ添った妻に突然先立たれた老人サムは、子供 達の暖かい思いやりに感謝しながらも、なんとか1人で 生きていこうとする。 そんな彼の前に、一匹の白い犬が現れる。彼以外の人の 前には姿を見せないこの犬は? やがて、サムにも死が訪れるときが来るのだが・・・。 「愛」というものを見事に描いた、読む人の胸を打つ 感動の作品。


  ステップファザ−・ステップ  宮部みゆき  ☆☆☆☆
中学生の双子の兄弟とプロの泥棒が組んで謎に挑戦! 巨額の遺産を相続した若い女性の部屋、忍び込んで みるとなぜか鏡だらけ・・。 表題作の「ステップファザ−・ステップ」を初めとして7編の 傑作ミステリ−を収録。


  スマイル  土居伸光  ☆☆☆
末期ガンで医者にも見放された作者の妻が、苦しみ悩み ながらも家族に支えられ、常にほほえみを絶やすこと なくその命を終えるまでの、感動の記録。 医者にいっさいかからず、自宅療養という形を最後まで 貫き通した姿は感動的。


  草原の椅子(上)  宮本輝  ☆☆☆
妻と別れ、娘と二人で暮らす憲太郎。愛人に灯油を かけられ、焼き殺されそうになった富樫。その二人の 男達を軸に、様々な人間関係が交錯する。 自分が生きる意味を見つけようと、憲太郎は人生を 模索する。


  草原の椅子(下)  宮本輝  ☆☆☆
富樫、憲太郎、憲太郎のあこがれの人貴志子、虐待を 受け心を閉ざしていた圭輔。 憲太郎は、この4人でタクラマカン砂漠へいくことを決意 する。そこで4人がそれぞれに感じたことは?人生の 意味を見つけようとする旅で得たことは?感動の作品。


  漱石とその時代5  江藤淳  ☆☆☆☆
漱石の研究においては第一人者と言われた江藤淳が描く 漱石の伝記。大正元年9月から漱石の死に至る大正5年 12月までを書く予定であったが、残りあとわずかという ところで作者が自ら命を絶ってしまい、残念ながら未完と なる。


  そして奇跡は起こった!  ジェニファ−・ア−ムストロング  ☆☆☆☆
1915年に南極海で遭難し、船を失って流氷原を1年半 さまよった英国探検隊28人。その1年半の苦闘と奇跡の 生還を描いたドキュメンタリ−。 男達の「生きて帰る。」という強い意志がこの奇跡を生み 出した。読むものに感動を与える作品。


  そして誰もいなくなった  アガサ・クリスティ−  ☆☆☆☆☆
それぞれ見も知らぬ、さまざまな職業、年齢、経歴の男女 10人が、あるひとりの男から彼の所有する島へ招待され た。だが、その島で起こったことは・・。ひとり、そしてまた ひとり、何者かが彼らの命を奪っていく。 来る者も出ていく者もない孤島で、ついに全員が殺されて しまい、島には誰もいなくなった・・。 アガサ・クリスティ−の最高の異色ミステリ−。


  つれづれノ−ト  銀色夏生  ☆☆☆☆
作者の日常がさりげない文章で描かれている。ほのぼの していて、肩肘を張らずに読める作品。シリ−ズになって いるが、また次が読みたくなる不思議な魅力を持って いる。


  テスタメント  ジョン・グリシャム  ☆☆☆☆
奇妙な遺言を残し、老いた大富豪が自殺した。遺産は なんと110億ドル!罠とも知らず天文学的な富に群がる 親族、顧問弁護士たち。 一方、真の相続人に指名された謎の女性を捜し出すため アル中弁護士ネイト・オライリ−は、ブラジルの奥地へと 分け入っていった・・。果たして遺産の行方は・・?
遺産をめぐる親族や顧問弁護士が、少しでも多くの遺産 を取ろうと四苦八苦するところが何とも言えず面白い。 真の相続人が見つかるまでは、ハラハラドキドキ。そして 結末・・。最後まで飽きさせず、期待を裏切らない展開に、 読んだ人はきっと満足するはず。


  天上の青(上)  曽野綾子  ☆☆☆
ある夏の朝、雪子は朝顔の種を分けて欲しいという 一人の男と知り合った。それがきっかけで時おり男は 雪子のもとを訪れ、話をするようになる。 優しそうな男だったが、実は彼は、次々と女性を襲い、 殺しては埋めるという、恐るべき殺人鬼だった。


  天上の青(下)  曽野綾子  ☆☆☆
次々と殺人を続ける宇野富士男。彼はついに小学生の 男の子まで手にかけてしまう。やがて彼は逮捕され、 事件の全貌が明らかになる。雪子は妹や周囲の非難の 中で、富士男のために弁護士を雇い、文通を始める。 雪子の生き方考え方に、反発したり同調しながら読んだ、 考えさせられる作品。


  同級生  東野圭吾  ☆☆☆
同級生の宮前由紀子は”俺”の子を身ごもったまま 事故死する。”俺”の愛が本物だと信じたままで。”俺”は その事故の真相を暴くために行動を開始する。 しかしこのことに関わっていたと思われる女教師が絞殺 体で発見され、事態は意外な方向へと進んでいく。学園 ものミステリ−。 今までに読んだ作品とはひと味違う作品だった。


  東京検死官  山崎光夫  ☆☆☆
三千体を検死したという一人の男の実話。昭和の時代、 難事件と呼ばれる事件の数々を迷宮入りから救った、 そのキャリアとセンスに肉薄する。解決の舞台裏を生々 しく証言している。 取り上げる内容はおもしろいのだが、もっと客観的に事実 を淡々と書いたほうが、おもしろくなったような気がする。


  東京トホホ本舗  原田宗典  ☆☆☆
表題の通り、トホホと思う話から、お腹を抱えて笑い出し てしまいそうな話まで、バラエティに富んだ楽しく愉快な エッセイ。元気のないときに読むと、元気100倍!


  止まらない時計  志村岳  ☆☆☆
ごくありふれた生活の中で、思いも寄らぬ告知を受けたと したら、私達はどう対処すればいいのだろうか? エイズに直面した6人の感染、発症ドキュメントで明らか になった深刻な現実。この悲痛な病からいかにして身を 守るか、また不幸にして感染してしまったら? エイズについての様々な問題を問いかける一冊。


  脳死再論  立花隆  ☆☆☆
人はどういう状態になれば「死」と言えるのか? 脳死の問題を徹底的に検証した、興味深い1冊。 かなり前の本だが、「脳死判定」の難しさを著者の視点 から鋭く描いていて、おもしろい。 日本初の心臓移植についての記述も、考えさせられる ものがある。


  パラレルワ−ルド・ラブスト−リ−  東野圭吾  ☆☆☆
親友の恋人を手に入れるために、男がしたこととは? 「記憶」と「現実」の狭間で悩み苦しむ男・・・。 一つの疑問がさらなる謎を生み、それが次第に解き明か されていく。そして、最後に見えた真実とは? なにが真実なのか、人の脳は自分の体験をどう認識し 記憶しているのか?とても考えさせられた作品。


  秘密  東野圭吾  ☆☆☆☆
妻と娘がバス転落事故に巻き込まれ、妻が犠牲になっ た。妻を失い嘆き悲しむ男。やがて娘は目覚めるが、 驚くべき事に、それは娘の姿をした妻だった! 運命を素直に受け入れて生きようとした時、そこにはつら く悲しい結末が待ち受けていた・・。 読んでいてホロリとさせられる作品。


  白夜行  東野圭吾  ☆☆☆☆
建築途中で放棄されたビルの中で、ある男が殺された。 1人の男が執拗に事件を追う。警察を定年退職してから もなお事件を追い続ける彼の前に、19年後意外な真実 が浮かび上がってくる。 一つ一つの事実が、まるでジグソ−パズルのピ−スの ような正確さで組み合わされていく。最後のピ−スが はめ込まれた時そこに見えたものは、哀切に満ちた真実 だった・・。 読み終わった後に、心に切なさが残る作品。


  ブレンダと呼ばれた少年  ジョン・コラピント  ☆☆☆☆
1976年、アメリカで包皮切除手術に失敗した8ヶ月の 双子の男の子の1人が、性科学の権威、ジョン・マネ−の 勧めによって性転換手術を受けた。だが、それは格好の 実験材料にされたに過ぎなかった。 ブレンダという名前で育てられた彼の心と体は、成長する につれ重大な局面を迎える・・・。驚愕のノンフィクション。


  分身  東野圭吾  ☆☆☆☆
函館生まれで、札幌で大学生活を送る氏家鞠子。東京の 女子大生、小林双葉。なんの関係もない二人だったが、 双葉がアマチュアロックバンドの歌手としてテレビに出演 したのをきっかけに、事態は意外な方向へと動き始める。 鞠子の母の自殺、双葉の母のひき逃げによる交通事故 死。そして、鞠子と双葉のうり二つの顔・・。二人を結ぶ ものははたして何か? 現代医学の危険な領域を描く長篇サスペンス。 現実にも起こりえることを題材にしているところが、なん とも言えない恐怖を読む人に与える作品。


  返事はいらない  宮部みゆき  ☆☆☆☆
男からの突然のさよなら。「何がいけないの?」千賀子は 思い詰めて自殺をはかろうとするが、ある夫婦に助けら れる。そして、その夫婦から意外な計画を打ち明けられ、 仲間に加わることを決意する。 表題作「返事はいらない」を初めとして、6編のマイルド・ サスペンスを収録。


  変身  東野圭吾  ☆☆☆☆☆
脳に致命的な損傷を負った成瀬純一。彼は世界初の脳 移植で奇跡的に一命をとりとめる。健康を回復したことを 喜ぶ純一だったが、ある日彼は自分の人格が変化して いくのを感じるようになる・・。
次第に変わっていく彼と、周囲の人々のとまどい、恋人と の関係。目に見えない恐怖が、読んでいる者をどんどん 話の中に引き込んでしまうような作品。人格というものに ついて考えさせられることも多かった。


    乃南アサ  ☆☆☆
麻里子は聴覚障害のある高校3年生。ある日レストランで 毒入りジュ−ス事件が発生し、容疑者として麻里子と同じ 障害を持つ少年が浮かび上がる。麻里子は少年と話を したいと願うが・・・。 ある事件を通して、一人の少女の揺れ動く心を描いた 作品。


  見知らぬ妻へ  浅田次郎  ☆☆☆
新宿・歌舞伎町で客引きとして生きる花田章は、日本に 滞在させるため偽装結婚した中国人女性をふとしたこと から愛し始めていた。しかし・・。 表題作「見知らぬ妻へ」を初めとする、やさしくも切ない 愛の物語を8編収録。心がほろりとする作品。


  むかし僕が死んだ家  東野圭吾  ☆☆☆
「あたしには幼い頃の記憶がないの。」 昔の恋人が失った記憶を取り戻すため、二人はある家を 訪れる。しかし、待っていたのは恐るべき真実だった。 1枚1枚記憶のベ−ルがはがされた時、最後に残ったの ものは? 思いがけない結末に、読む者はきっと驚かされることと 思う。


  名探偵の掟  東野圭吾  ☆☆☆
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体、はては某有名 なミステリ−作家のパロディ−もどきのものまで、様々な 事件が起こる。これら12の事件を解決するのは、名探偵 天下一大五郎。 彼が最後にたどり着いた「ミステリ−界の謎」とは? 楽しく読めるミステリ−。


  地下鉄(メトロ)に乗って  浅田次郎  ☆☆☆☆☆
男が地下鉄の階段を上がると、なんとそこは30年前の 風景だった!そしてそこには父に反発し、自殺した兄が いた。さらに過去をさかのぼり、彼は父自身が自ら封印 した過去をも知ってしまう。 過去の世界で様々な人たちに出会った彼は、最後に つらく悲しい現実と向きあうことになるのだが・・。 読んでいて思わず涙がこぼれてしまう作品だった。


  燃えよ剣(上)  司馬遼太郎  ☆☆☆☆☆
幕末の動乱期を新選組副長として剣に生き剣に死んだ 男、土方歳三の華麗なまでに頑な生涯を描く。 彼は、ケンカ好きと組織作りの天性によって、浪人や百姓 の寄せ集めにすぎなかった「新選組」を、最強の集団へと 作り上げていった。


  燃えよ剣(下)  司馬遼太郎  ☆☆☆☆☆
池田屋事件以来、活躍する新選組。しかし、鳥羽伏見の 戦いに敗れ、新選組は敗走する。 舞台は、江戸、会津若松そして函館五稜郭へと・・。 歳三の最後の戦いが始まる。


  模倣犯(上)  宮部みゆき  ☆☆☆☆
公園のゴミ袋の中から発見された女性の右腕!それは 「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告 だった。悲惨きわまりない事件が今幕を開ける・・・。 宮部みゆき会心の現代ミステリ−。


  模倣犯(下)  宮部みゆき  ☆☆☆☆
炎上しながら谷底へ落ちていく一台の車。事故死した 男の自宅には数々の殺人記録が残されていた。 事件を操る真犯人の正体は、世間をあっと言わせる 人物だった。 あまりにも切ない結末をどうとらえたらいいのか・・。 今までの宮部作品とはひと味違うミステリ−。


  わが母中村久子  中村富子  ☆☆☆
幼い時、病気のため両手両足を失った中村久子。 彼女の生き様を、娘である著者が語る。娘の目を通して 描かれる母の姿は、胸に迫るものがある。


  忘れられたものの暦  澤地久枝  ☆☆☆
結婚生活、売春、冤罪、戦争、不治の病、人との 出会いと別れ、二・二六事件で遺された妻達。 様々な人間の喜び、悲しみを温かな目で見つめながら、 昭和という時代を描いたエッセイ。


  我らが隣人の犯罪  宮部みゆき  ☆☆☆☆
鳴き声がうるさい隣家の犬を何とかしようと、綿密な計画 を立て実行に移したが、ことは意外な方向へと進んで いった・・・。表題作「我らが隣人の犯罪」を含む、不思議な ミステリ−5編を収録。


  われは蝸牛に似て  八木義徳  ☆☆☆
文士と言われた著者が過去に発表した7編の短編を収 録。「あとがきは自分で書くから、原稿用紙を病室に持っ てくるように。」と夫人に言っていたが、ついに自分自身で 書くことはできなかった。あとがきは、夫人によるもの。